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アイルランド旅行記 2010 〜キルベガン蒸留所を訪ねて〜 
2010年 5月 6日(木)

今回初めて訪れたアイルランド。

アイルランドといえば、何と言ってもまず頭に浮かぶのはギネスですが、もちろんウィスキーも作っています。
というより、ウィスキー発祥の地であります。(諸説あるようですが、専らアイルランド発祥説が有力なようです。)

アイリッシュウィスキーと言えば、ブッシュミルズ、タラモア・デュー、ジェイムソンなど有名な銘柄がありますが、
この中で、その名の蒸留所があり、そこで作られているのはブッシュミルズ(北アイルランド)だけで、他の2銘柄は
どちらも新ミドルトン蒸留所という同じ蒸留所で作られています。

かつてはタラモア・デューはタラモアという町に、ジェイムソンは首都ダブリンにその名の蒸留所があり、それぞれ独自の
蒸留所でウィスキーを作っていたのですが、様々な不運が重なりアイリッシュ・ウィスキーは衰退の一途をたどり、
どちらの蒸留所も閉鎖に追い込まれてしまったのです。

現在はどちらも観光向けのウィスキー博物館としてなんとかその姿を残しています。

旧タラモア蒸留所
旧ジェイムソン蒸留所

今回訪れたキルベガン蒸留所も、かつてロックス蒸留所の名前で1757年に蒸留ライセンスを取得してウィスキーの蒸留
をスタートし、19世紀後半には年間900,000リットル近いウィスキーを生産していましたが、アメリカでの禁酒法の施行や
第二次世界大戦などの影響を受け、1953年には生産をストップし、ついに1957年には蒸留所が閉鎖されてしまいました。

その後蒸留所はその姿のまま放置されていましたが、1980年代に入って地元の人々が中心となって改修を行い、
ロックス・ウィスキー・ミュージアムとしてオープンしたのです。
この施設は19世紀のウィスキー作りがどのように行われていたのかを知ることのできる大変貴重なもので、世界的な
ウィスキー評論家であるジム・マレー氏をして「キルベガンを見ずしてウィスキーを語るなかれ」と言わしめました。

確かに、大きな水車や蒸気エンジン、原料の麦を挽く大きな石臼などほかの蒸留所では見慣れない設備が使われていた
当時の姿のまま見ることができ、実に興味深いモノでした。

そしてロックス・ウィスキー・ミュージアムはただの博物館としてだけでなく、キルベガン蒸留所としてウィスキーの生産を
一部スタートさせたのです。

一部というのは、麦汁の発酵や一回目の蒸留までは1987年に北アイルランド国境に近いダンダルクに設立されたクーリー
蒸留所で行い、そこで得られた初溜液をキルベガン蒸留所に運び、そこで新たに設置された蒸留釜で2回目の蒸留のみ
行うというシステムをとっています。

それでは、キルベガン蒸留所への旅のスタートです。




ダブリン・ヒューストン駅から電車に乗って西に向かいおよそ1時間でタラモア駅に到着します。

    タラモア駅

電車内のアナウンスが流れてきた時、何を言っているのかさっぱり聞き取れなくて自分のヒアリング能力が悪いのか、

えらく訛った英語なのかと思いましたが、ゲール語のアナウンスだったようで、1分ほど間をおいてから英語のアナウンス

が。ホームの駅名の表示もゲール語が上。


駅は郊外にあるので町まで徒歩で向かいます。

そして、タラモア博物館に寄って、その隣の自転車屋でレンタサイクルしてキルベガン蒸留所に向かうというプランです。


地図を見ながら町を目指しますが、なかなか辿り着かず、連れには道を間違えたんじゃないかと疑惑の目で見られ。

こんな時、私は出来るだけ地図や標識を確認して自分で解決したい方なのですが、連れは人に聞いて確認するタイプ。

で、歩いていた高校生風のにいちゃんに聞いてみるとやっぱり道を間違えていたようで、「ホラ見ろ」という顔。

しゅんとして言われた道を進みますが、なんかどんどん寂れてくる。

改めて道を聞くにも歩いている人も居ず、やっと見つけたドラッグストアで聞いてみるとやっぱり最初の道で合ってたようで、

「ホラ見ろ」という顔で見返してやりたいところをグッと我慢。 1時間ほどのロスでした。


そしてなんとか旧タラモア蒸留所である博物館に到着し、一通り見学をして(特に見るべきものはありませんでした...)

隣の自転車屋に。


先客がいたのでしばらく待ってから、

「レンタサイクルを予約した者ですが。」

「は? ウチはレンタサイクルはやってませんが?」

「いやいや、メールでお願いしましたよ。」

「本店ではやってるんだけど、こっちではやってないよ。ここにはパソコンも無いし。」

「いや、だから本店の人とやりとりして、手配してくれることになってるんです。」

と、怪しい雲行きで。というか、こりゃ手配されてないな。

支店の彼は本店に電話して、どうやら確認できたようですが、今更どうしようもなく。

倉庫に行って何かしら貸せそうな自転車を探して(るフリ)くれましたが、何もないようで。

「申し訳ないんだけど、どうしようもないんだ。」

そのようですね。わかりましたよ。

このような時、連れからは何で簡単にあきらめるんだと叱責されます。もっと交渉しろ、と。


でもね、「申し訳ないんだけど、どうしようもないんだ。」


さて、こうなると代替手段を考えないといけません。

キルベガン蒸留所まではおよそ10km。普通に考えればタクシーです。ほかの選択肢はありません。

いや、一つあるようです。

「歩いていこうよ。」

その提案、来るような気がしてました。

「でも、10kmだから2時間はかかるよ。時速5kmで歩いたとして。」

「そうかなぁ?2時間もかからないよ。」

えっ?その根拠は?時速5kmで歩くのはけっこういいペースだよ。

そして10÷5=2だよ。

と、口で言ってもしょうがないので実験してみることにしましょう。

まあ、時間はあるのでこれはこれでよいでしょう。

のどかな田園風景を見ながら歩くというのも悪くありません。

   

と、思っていたのも束の間。

道は途中からバイパスのようになり、ちゃんとした歩道もなく、車の制限速度は100km。

大きなトラックが来るたび、生きた心地がしません。

これは、自転車でもちょっと大変だったかもしれません。

そして、きっちり2時間経ったあたりでキルベガンの町はずれに到着。




連れは、「いやーきつかったね。いつまで経っても着かないんだもん。帰りはタクシーにしようね。」


...2時間経てば着くと思ってたよ。


ともかくキルベガンの町に入り、しばらく行くと写真で見ていた蒸留所の煙突が見えて来ました。

2時間歩いて辿り着いたということもあり、気分が高まります。

   


では、いよいよ中に入って行きましょう。



         つづきはこちら アイルランド旅行記2010 キルベガン蒸留所を訪ねて Part2

                                                

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