5.熟成(マチュレーション)
2回の蒸留を終えて得られた液体は、スピリット・セーフの写真からも分かる通りまだ無色透明の液体で、ウィイスキーとは呼べずに“ニューポット”と呼びます。これは、スコッチウィスキーの名を名乗るには最低3年間の樽熟成が法律で義務付けられているためで、これからこのニューポットは樽に詰められて、長い眠りに付くのです。
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PHOTO:
左=樽詰めの様子
右=ラフロイグ蒸留所 |
スコッチウィスキーの熟成に使用される樽は、バーボンやシェリーの熟成に使用した再利用樽が用いられるのが一般的で、この樽の種類によってウィスキーの色や風味に大きな違いが生じます。
また、樽の種類だけでなく熟成させる環境もとても重要で、例えば海に面して絶えず海風に洗われる場所に熟成庫のあるラフロイグ蒸留所では、塩味や磯や海草の香りを感じる力強いウイスキーが、マッカラン蒸留所に代表されるスペイサイドの穏やかな山間で熟成されたウイスキーからは、まろやかな優しい口当たりのウィスキーが生まれます。
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PHOTO:
左=ラフロイグ蒸留所
右=マッカラン蒸留所 |
このように、シングルモルト・スコッチウイスキーというのは、スコットランドの自然にはぐくまれた長い眠りから覚め、それを他の蒸留所で作られたものと一切混ぜることなくボトルに詰められたウィスキーなのです。そしてそのウィスキーをグラスにそそぐと、素晴らしい香りとともに、スコットランドの情景が広がります。
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